〜前回までのあらすじ(三行)〜
・お店に入れず食事できない。
・いろいろ言い訳して尺だけ取る。
・碁会所で囲碁打ちました。(今ここ)
皆さんこんにちは。生粋の薩摩隼人、長谷インです。
<益荒男ランキング> 薩摩隼人>九州男児>日本男子(大和男児)
上記のように「男らしさ」の日本ランキングでは薩摩隼人が群を抜いています。(長谷イン調べ)世界的にも「侍」の精神は高い評価を得ていますから、薩摩隼人が世界一の男らしさを誇るといっても過言ではないでしょう。
しかしコミュニケーション能力を問われれば、日本は島国のため歴史的にも後れを取っている
と言わざるを得ません。また田舎に行くほど「村社会」になっていきますから、日本の端である薩摩藩まで行くと鎖国の江戸幕府の中でもさらに閉鎖的な環境になります。いろいろ好き勝手言ってますが、男らしさとコミュ力は反比例するのではないかということです。
ただ例外はあるもので、薩摩隼人の長谷インは白いカラスさながら男らしさが綺麗に
色落ちしているわけです。男児力、コミュ力が比例して著しく低いという生粋の小食系男子
である長谷インは、二日目の晩飯にありつくことができるのだろうか・・・!?
台湾編その4「(二日目後半戦)そうだ、ポエムを書こう!」(つづき)
毎回余計なところに尺と力を注いでいるので、今回はテンポアップして書いて行きます。
棋聖模範棋院(碁会所)を後にした長谷インは晩飯を求めて行動を開始します。
さて、どこで食べようか。さすがに今夜は無策ではありません。
目指す駅は「台北メインステーション」(台北車站)です。
多くの日本人宿がここ台北駅に集まっており、松山空港および桃園空港から旅行者が
一番最初に目指す駅でもあります。
初日に時間があれば寄ろうと思ってましたが、いろいろ手こずったので
叶いませんでした。(その2参照)
宿泊先である忠孝復興駅とも三つしか離れていないので、何かおいしいものでも
食べて帰るにはちょうど良い距離です。時間は午後7〜8時くらい。
ご飯はすぐ食べ終わりますから、まだ少々時間があります。
(本当は宿に帰って翻訳作業、明日へ向けての準備があるのですが。)
まあ、小学一年生から居残りを経験している宿題嫌いの長谷インは後回しが得意技になって
います。明日への準備もありますが、晩飯ともう一つ寄っておきたいところがあります。
それは「龍山寺駅」です。
ここの駅を降りたすぐ近くに野外で碁を打っている人たちがいるらしいのです。
これはいい加減なネット情報ではなく、現地の日本人宿で得た確かな情報です。
(二名の証言)
囲碁取材は翻訳の壁を越えないとなかなか厳しいでしょうが、今回は野外で
「打っている」そうです。
囲碁は別名「手談」です。
現に碁会所に行って囲碁を打っているときだけは言葉(気持ち)が通じました。
(何を言ってるのか分りませんでしたが、それでも伝わるものがあります。)
明日以降のスケジュールを考えると一日も無駄にはできません。
ただ碁会所で打ってきました、では台湾囲碁視察にはなりませんからね。
現地でしか確かめられないことを目の当たりにするのが、今回の目的でしょう。
さっそく龍山寺駅を目指します。
台北駅から二駅、忠孝復興から五駅しか離れていないので移動は楽なものです。
余談ですが、台湾の電車は座席がすべてプラスチック製です。
(球場や競技場の椅子が繋がっているような感じ。)
何の違和感もなく乗れましたが、日本との微妙な違いにやっぱり外国だなぁと実感します。
最初はもっと外国をイメージしていたので、日本と大差ないことに驚きました。
慣れると今度は日本との違いが目に付くようになります。向こうは道路が綺麗に区画
されていますから、電車での移動よりバイク、車の利用者が多かったです。
故に満員電車なんて都心のアホみたいな通勤、帰宅ラッシュはありません。
上には大きな道路が整備されていて、下では地下鉄が走っているわけです。
さて、龍山寺駅に着いた長谷インを待ち受けていたものは意外な光景でした。
まず漂う雰囲気が何か独特な、尋常ではない様子です。
「場末」もしくは「世紀末」という言葉が似合います。
明らかにほかの場所とは一線を画します。
ここには多くの仏教徒らしき方々が集まっていました。
事前に調べて行く人はそういう場所だと分かっているのでしょうが、
ここはまったくのノーマークでしたからね。
駅を降りて辺りを歩くとすぐに「例の人たち」を見つけることができました。
そうです、野外で囲碁(らしきもの)を打っている人たちです。
石造りの椅子のような、座れるところに何やら盤を挟んで何人か打っています。
近づいて見てみると・・・。
「・・・・・・。」
「これは、囲碁じゃない。」
まず目に付いたのは石です。
白石が何かクリスタルっぽい半透明の素材で、黒石も何か微妙に違います。
この瞬間、思い描いたのは「オセロ」です。
石が平べったくて、かつ盤の大きさやマス目がオセロのようです。
この時点ではもう辺りが暗くなっていて、近眼の長谷インには薄明りのため良く見えません。
しかし、よく盤上を見てみると「囲っている」動きをしています。
囲ったと思ったら、石をいきなり盤外に落としました。
「何なんだ、このゲームは。」
「まったく未知のゲームをしている。」
そのときの心理状態は形容しがたいものがあります。
なぜならまったく未知のゲームでありながら「囲うような動き」が見て取れるわけです。
"ゲーム性はおそらく囲碁と似たようなものだろう、しかしまったく解せない。"
まるで漢字を知っているのに中国語がまったく分からない、そんな感覚に陥っていました。
(勇気を出して声をかけてみようか。)
言うまでもなく、それは断念しました。
"こんな場末の雰囲気が漂う中、戦後の賭場にいるようなおじいさんたち(適当)に
話しかけられるわけがない。"
一度その場を通り過ぎてしばらく辺りをプラプラしました。
囲碁じゃないのは明らかですが、未知のゲームの正体を突き止めたい気持ちもあります。
そこでもう一度だけ、よく近づいて見てみることにしました。
(これは・・・盤のマス目が9だから・・・、いや9×8?!)
(良く見ると斜めの線が走っている・・・もう一方にも。)
(ん、良く見ると白石に何か書いてあるけど・・・これは。)
「まさか、これは軍人将棋なのか!?」
このゲームはおそらく軍人将棋であることが判明しました。
通常の盤や駒とは違いましたが、盤上の進行を見る限りではそれ以外考えられません。
ルールも多少違うようです。軍人将棋には駒の強弱を判定をする審判がいるはずですが、
皆二人でやっていました。
宿の情報では囲碁ということでしたが、これは見間違うのも無理はありません。
一見すると囲碁のようですが、長谷インの目は欺けませんでした。
予定よりも早く取材イベントが終了してしまったので、龍山寺へ行ってみることに。
寺の入り口に電光掲示板がありますが、あれ何とかなりませんかねぇ。
目の前が道路なので標識代わりかもしれませんが、寺の雰囲気ぶち壊しです。
しかも門の上とかどういう神経してるんだって位置取りですよ。
神経といえば外国人観光客のマナーのひどさったらないです。
外から写真撮影するのは(観光地の役割も果たしているので)構わないと思いますが、
本殿の中でも携帯を掲げていますからね。
深々と頭を垂れている方々に少しは遠慮しろよと思っていた矢先、何か自分まで
厳しい視線を送られている気がしてきました。
仏教徒ではないし居づらい雰囲気だったので、その場は早々に立ち去りました。
ちなみに旅行中は断りもなく誰かを撮るようなことはしていません。
そんなことは当たり前だって話なんですが、本当は軍人将棋のところとか
いろいろ撮りたい場所はありました。ただどうしても個人が入ってしまうとまずいので、
不特定多数の人以外がフレームに入る場所は遠慮しました。
思い出は胸に焼き付けておくのが良いということでしょうね。
ある意味、この旅行記を思い出のメモ代わりにしていますから良しとしましょう。
しかしまあ、ここまでやっぱり尺を使ってしまいましたね。
タイトルの「ポエム」の話を早く書きたいのに全然話が進みません。
そもそも晩飯にありつけるのかどうか、ってことでした。
龍山寺ではちょっとした滝とか寺の外の光景をパシャパシャ撮りながら一つの思いを
抱いていました。
「もしかしたらこの旅行は何も為せずに終わるかもしれない。」
「写メもほとんど撮ってないどころか、歩行者信号や看板を写している始末。」
「ほかの人が当たり前にしている思い出作りすら満足にできていないのではないか?」
囲碁取材がメインの旅行だったのに、期せずしてほかの観光客を目の当たりにしたことで
心境が変わりました。
昼に戦いの場から離脱して、囲碁を打って、今は観光地で一人自問自答しています。
龍山寺駅にきたのは観光目的ではありません。
それでも周りのリア充(^_-)-☆な人たちを見ていると、ひとりでいることに
惨めささえ感じてしまいます。とにかく飯を食べて明日の準備をしよう。
時刻はもう午後9時頃です。昨日の晩から何も食べていませんから、さすがにお腹が
空いています。明日への希望をつなげるため、長谷インは場末の龍山寺をあとにしました。
いよいよ、台北駅でLet’s 晩飯タイム!
これ書こうかな、やめようかな。
端的にまとめると約2,3時間ほど彷徨い歩いて、お店には入りませんでした。
途中の過程もお話しましょうか?結構ですか、では仕方ありません。
尺もあまり残っていないので、端的に書いていきましょう。
まず金銭感覚です。
ガリガリ君29元(116円)に衝撃を受けた庶民感覚はいまだ健在です。
(※最近、アイスケースで見たガリガリ君は税込59円!でした。)
そうです、何だかんだ言いつつも安いところを探しているわけですね。
初日に入った店は不味いけど安い。
天秤にかけるとおいしいご飯より、お手頃なお値段なわけです。
また保留、保留と先延ばしにするのも直っていません。自分の得意分野、または
やりたいことに対しては、瞬時に判断して決断することができます。
しかし一人暮らしが長いせいか、ご飯を食べるのは楽しみではなく
割とめんどくさい作業になっています。
外で食べるとお金かかるし、家で作ると手間だしなぁ、とか思っているわけです。
普段からそういう意識なので、台湾でも別においしいものを食べることは楽しみにはしていません。ただ旅行記を書くのは至上命題ですから、イベントは多いに越したことはありません。
「小籠包美味しかった ^^) _旦~~」
こんなテンションで書ければ良かったのですが、現実はそう甘くはありません。
何といっても大きいのが言葉の壁です、それを一番気にしています。
結局、先延ばしにしていくだけで一向にお店に入る気配がありません。
さらに台北駅から地下街をてくてく歩いて行くと、多くが閉店時間でシャッターは
ほとんど降りている始末です。
全然活気がない地下街を一つ先の中山駅方面に向かってずうっと歩いて行きます。
"何とかしなくてはいけない、でも何もできない。"
いくら海外とはいえ、ご飯を食べるのにここまで追い詰められる人がいるでしょうか?
お金は持ってるんだから適当に入りなよ、って自分に言い聞かせていました。
そして地下街を歩きながら、自分の大好きな日本のアニメ関連のポスターや広告を
パシャパシャ撮っていました。
そんな意味不明な行動をしていても、事態は一向に改善しません。
そのうち行き止まりになってしまいました。
仕方なく地上に出て中山駅から折り返そうとすると・・・。
「・・・・・・。」
一面大きい道路で、駅らしきものは見当たりません。
地下に戻って壁の地図をよく見てみると・・・。
上を目指していたつもりが、真横に突き進んでいました。
ここから帰るには今歩いてきた道を引き返すしかありません。
ここまで歩くのに一時間〜一時間半程度は掛かっています。
さすがにお腹ぺこぺこ、午前中から歩き回ってもうへとへと。
泣く泣く、進んできた道を引き返しました。
しかしものは考えようでこれは大きなチャンスでもあります。
今まで保留にしてきた店舗を再度通ることになりますから、
今度こそ入店できないわけがありません。果たして・・・って、
さっき入りませんでしたと言ったばかりでした。
別に店内に入るような形式ばかりではなく、店頭でも売ってるしオープンに
なっているところもあるわけですよ。
ある意味妥協しない、余計なところばかり頑張る長谷インだからこそ
すべてスルーできるわけです。ボロボロになりながら宿のある忠孝復興駅に帰ってきました。
ホントにもう暑さで誤魔化しきれないほどの空腹と疲労に襲われています。
"最後の最後、の最後の最後"
最終的な策は用意していました。
それは昨晩から目を付けていた「老蔡水煎包」屋に行くことです。
(具入りの饅頭みたいなやつ)このお店はMRT(地下鉄)の入り口を出て
すぐのところにあり、店頭で販売しています。
"台湾でおいしいものを食べたかったら人の集まるところへ行け"
通行人がちらほら寄っていくここなら、味は少なからず保障されているはずです。
(昨日の食堂みたいなところはお客さんが少なかったです。)
もうこの時点でいろいろな限界を超えています。ここで買えなかったら昨日のまずい食堂へ
行くか、コンビニの弁当で済ませるしかありません。そんなことは薩摩隼人、烏鷺侍の
長谷インのプライドが許しません。ここまで散々歩き回って、ヘトヘトのペコペコに
なってもチンケなプライドだけは守り抜きます。
ええい、やあ!
「これとこれとこれ、一つずつください!!!」
メニューを指さしながら聞き返されないように全種類頼みました。
指さして一つずつのサイン出すだけですよ、やっとできました。
やっと、やっとアゲハマ一つ取ることができました。カス石だろうが何だろうが、
これが月よりも遠かった最初の一歩です。
宿泊先の前に公園があったので、貪り喰らい尽くしました。
夢中で食べながら(写メるんだったか)と思い返しましたが、そんなことはもう
どうでも良いです。思い出よりも、レポートよりも目の前の饅頭です。
三つ食べてあっという間にお腹が膨れました。大した量じゃなかったんですが、
暑いので満腹中枢をすぐに刺激されます。
やっと・・・やあっっと・・・、やああっっっと!!!の思いです。
飯を食べるのにこれほどのことがあろうか、いやなかろうか。
"ありました"
これが長谷イン☆クオリティです。
いまだかつて、こんなアホみたいな旅行記見たことありませんよ。
ご飯でわくわく、食べては美味しかった( *´艸`)が定番ですからね。
ちなみに饅頭の味は、確かまあまあでした。
味を楽しむレベルをはるか超えて、生存をかけた野生の空腹との戦いだったため
記憶が曖昧です。でも豚のやつはうまかったなぁ、台湾に来てからずっとブタな展開が
続きます。コンビニで飲み物を買って、ようやっと宿に帰ることができました。
深夜の店員さんの態度は相変わらずでしたが、やっぱり平常運転というのは落ち着きます。
二日目は戦いきれず撤退を余儀なくされ、かといって妥協もせずで大変な一日でした。
(妥協=コンビニ弁当)
良かったのは対局だけです、本当に疲れました。しかし、まだ保留にしていた最後の仕事
が残っています。時刻は午後11時をとうに回っていますが、ここからオフラインの
翻訳アプリをダウンロードしなくてはいけません。さらにPCでもやれることは
やっておこうと、簡体字のピンインもダウンロードしておきました。
皆さんのPCは日本語か英語(アルファベット)入力だと思いますが、中国語でも打てる
ようにしたわけです。なぜなら簡体字でしか出せない漢字があるからです。
「你好。」の"你"でさえ普通は出せないはずですからね。
とにかく肝心なのはオフラインでの翻訳、特に音声翻訳が可能なことです。
このときはそれができると信じていました。
(夜遅くになってしまい、音声翻訳を検証することはできませんでした。)
2、3時間で作業が終わり、やっと午前2時くらいに寝ることができました。
それにしてもクソ暑くてなかなか眠れず、扇風機をかけても音がうるさい始末です。
このとき精神的に散々追い詰められていた長谷インですが、楽観的思考回路はまだ
死んではいませんでした。眠れない中、いろいろ考えていたらある名案を思い付きました。
"そうだ、ポエムを書こう!"
自分の気持ちを縛っているのは、何よりも帰国後の旅行記です。
失敗する分には書くことがあるから構いません。
問題なのは何も為せずに、ただナメクジのように暑さに干からびて萎びれてしまうことです。
二日目は碁会所でたくさん打ってきました、これでは何もしていないのと同義です。
かくなる上は、こんな惨めな思いを詩にしたらどうか?と思い立ったわけです。
心の描写を詩のようなタッチで書いて行こう。
これで旅行記を長編10連載にできるんじゃないか!?
このときはそんなことを本気で考えていました。
"あの夏もこんな猛暑だった・・・。"
しかもあろうことか、高校生編から語り始めようとしていましたからね。
入学して初めの3か月間は一言もしゃべらずに学校を行き帰りすることが日常茶飯事でした。
※その頃から重度のカオナシ(面目なし)だったわけですが、夏休みにヒカルの碁を
読んで囲碁を始めたおかげで変わりました。
二日目の夜にして、すでに相当追い詰められていることは察してください。
このときはもう暑さで頭がやられていて、わくわくしながらポエムのことを考えていました
から。そんな夢とも現とも分からない境の中で、二日目の夜は静かに更けて行きました。
次回「海峰棋院、ナショナルチーム」に続きます。
(※内容によっては「神の味、究極の一品」に変更するかもしれません。
あらかじめご了承ください。)
"後日談"
今こうして旅行記を書いているわけですが、こんな文量になるとは思ってもいませんでした。
ポエムどころの話ではないですよ、ホント。3日目からが本番で、いよいよこの珍道中も
佳境に入ります。ここから先は自己満足のマイペースで書いていくので、期待せず気長に
お待ちください。