2018/04/30
僕が感じたこの感動は、それを僕が表現しなければ
ほかの誰も感じることができないのです。
片岡鶴太郎の言葉を思い出した。
彼は40歳近くで初めて筆を握ったそうだが、
きっかけは牡丹の美しさに魅せられたからだという。
GW初日、根津美術館で尾形光琳の『燕子花図屏風』に会った。
300年前に光琳が何を感じたのか、背景をいっさいはぶいた
迫力ある大きな屏風を通じて伝わってきた。
毎年この期間に公開しているのには理由がありそうだ。
美術館の広い庭の一角で燕子花が見ごろを迎えていた。
この燕子花を描いたのか。一瞬そう思わせる力がある、
文字通り「絵になる風景」だった。
2018/03/20
阿佐ヶ谷の商店街を散歩していると
ふと目に留まったものがあった。
『たいやきの開き』
?!
意味が一瞬わからなかった。
開いてどうするんだ~。
頭の中でつっこみの声がひびく。
たいやきの皮がすきなあなたへ。
その言葉ですこし納得した。
たしかにけっこう好きかもしれない。
ただ、ちょっとかわいそうになってしまった。
いきものじゃないのに。
2018/03/14
ハウスメーカーの人から日々、気密性、断熱性、遮音性といった
普段耳にしない言葉で営業をされている。
気づくと「性能」で家を比べ始める自分がいる。
あぶない。あぶない。
20年前、いや、10年前と比べても、見たことのない機能が
登場しているので目がひかれる。
だがそれは、10年後、20年後も、
また新しい機能が登場するということだ。
いま最新であるものに目を奪われるのは、
将来新たに登場するものが羨ましくなるということだ。
そんな繰り返しの輪の中には入りたくない。
いつまでたっても古くならないもの。
いや、古くなっても、それがむしろ嬉しくなるようなもの。
経年劣化する「性能」ではなく、
経年進化する「質」に目をむけて選びたい。
2018/03/05
「美味しいコーヒーで素敵なティータイムを」
中野駅前の看板にふと目がとまった。
そうか。コーヒーよりティーのほうが守備範囲が広いのか。
「美味しいティーで素敵なコーヒータイムを」
にはならなさそうだ。
たしかに「お茶しない?」といって
本当にお茶を頼む人はあまりいない。
お茶やティーという言葉は、固有から一般までをカバーしている。
では本当にティー>コーヒーなのか。
コーヒー派の僕は、もう少し考えてみた。
「コーヒーブレイク」という言葉がある。
ティータイムと同じように使われることもあるが、
その意味での登場頻度はティーよりすくない。
だが、飲み物や喫茶から離れて、「ちょっとひといき」といった
エッセイやコラムの名称にも使われるときは
俄然コーヒーに軍配があがる。
生活における守備範囲の広さでいえば、
ティーとコーヒーは互角。
というのが、
今日のティータイムで出した
コーヒーブレイクな結論だ。
2018/02/27
『坐忘』:静坐し現前の世界を忘れる。
一昨日訪れた笛吹川沿いの宿は、仏教用語から素敵な名前をつけていた。
心地よい和の設えで至福のひとときを楽しんだ。
広いラウンジが素晴らしかったな。
朝食が美味しかったな。
いい湯だったな。
いまも余韻が残る。
だがこれらは時とともに薄れていくだろう。
ほかの宿の記憶に上書きされることもあるだろう。
いっぽう、義理の両親に予想以上に喜んでもらえたことは、
時とともに記憶が濃くなっていく予感がする。
「時のごちそう」
とはこういうことなのかもしれない。
2018/02/25
今日は短時間ながら久しぶりに絵と向き合う時間があった。
山梨の笛吹川温泉に義理の両親と一緒に来ている。
途中山梨県立美術館に立ち寄った。
ミレーの『種をまく人』
少し薄暗い背景の中で、農夫が種をまいている。
それだけの絵なのだが、なぜこれが彼の代表作なのか
少し感じることができた。
収穫という未来に向かう力強さがある。
未来に向けて種をまいている。
その絵の前に立っていると、自然と元気になる。
絵の力を感じるひと時を楽しんだ。
2018/02/23
ねもちゃんさぁ、数字好きだよね~。
昨年京都で久しぶりにあった8歳年下の後輩から言われた。
数字好きかどうかはわからないが、たしかに毎日数字と親しんでいる。
ぱっといま何時何分かをあてる。
レジで会計中に金額をあてる。
毎回ゲーム感覚でひとり楽しんでいる。
最近、いままで縁のなかった数字に気をうばわれている。
ご存じ「坪単価」だ。
建物価格を広さで割った数字で、
住宅メーカーを横並びで比較する目安ながら、
定義がバラバラなのが面白い。
広さが屋根のあるところの総面積、つまり延床面積なのか、
バルコニーなどを含んだ延床面積なのか。
坪単価にキッチンやお風呂などの設備を含むのか。
各社が自社に有利な部分だけを切り取ってアピールしてくる。
こちらも真実を見抜く目を持たないと太刀打ちできない。
さらに、同じ広さ、たとえば36㎡に同じ素材も使っていても、
坪単価がちがう場合がある。その建物が6m×6mか、4m×9mかで
壁の長さが2m違うからだ。
こんなことをブログに書いているから「数字好き」と言われるのかもしれない。
と、いま気がついた。
2018/02/21
昨晩は中高の同級生5人が集まり、
久しぶりに日付がかわっても飲み続ける夜となった。
36年前にスタートした中高6年間は、
7時間ちかく話続けても少しも退屈しない力をもっていた。
今年48歳を迎える僕らにとって、一緒に過ごした濃い6年と
別々の42年は、いま丁度良いバランスになっている。
プリンに例えれば、6年がカラメルで42年が黄身の部分。
まぜて食べるとほかでは味わえない絶妙な味になる。
最近知り合った友人や、20年以上交流が続く会社の元同僚とは違う
「プリンの法則」を感じる夜だった。
2018/02/17
100円追加することで一番贅沢を感じられるもの。
皆さんにとっては何だろうか。
僕は長い間「カップラーメン」だった。
100円のカップヌードルから400円近いものまで
色々あるが、100円違うとスープの深みが格段に
違うことに驚く。レトルトだとばかには出来ない。
だが健康を気にするようになって、ここ数年手にすることが
めっきり少なくなった。
代わりに登場したのが「生卵」だ。
1個10円20円のものもあれば、100円を超えるものもある。
味の濃さがまったく違う。
高級卵を入手できたときは、週末の朝、卵がけご飯(TKG)で頂く。
あつあつご飯の上で卵を割り、まぜずにそのまま岩塩を振る。
数秒後、至福の瞬間が訪れる。
今朝は予想以上に「+100円の力」を感じさせる卵だった。
2018/02/15
明日は2週間前と同じ中野で講演だ。
規模は小さく10名程度の座談会になるだろう。
前回は「よどみなく話すぎる」といわれた。
初めてもらった指摘だがそのとおりだ。
聞く側の感情の起伏を生んでこそ記憶にねばり、
言いたいことも届く。
さらさら~と理路整然と話してはダメなのだ。
気合が空回り気味だった前回の反省を活かし、緩急をつけて、
「いい加減に」「理路雑然」としたトークを目指そう。
いつものように。
*セミナー『名脇役が生まれる日』
http://ictco.jp/syousai.html?id=294