2020/02/27
連載最終回は、旧友に言えなかったことを書きました。
2020/02/27
連載3回目は想い出の1局をふりかえりました。
2020/02/27
連載2回目は「持ち時間」について考えてみました。
2020/02/27
2020年2月、読売新聞水曜夕刊で4回連載を頂きました。
サイト運営で気づいたことや思い出の1局を綴りました。
第1回は石音で生れる囲碁仲間の「輪」についてです。
2018/10/17
うぉぉっ!
すっとんきょうな声は、扉2枚を通過して
リビングにいたつれにも届いたらしい。
何事かと心配された事態は、盤上、それも
パソコンの画面上で起こっていた。
昨晩、僕は所属していた商社OB会のトーナメントに出場した。
自分が運営する囲碁サイト『石音』で毎月1度の開催。
もう136回も続いている。
準決勝の相手はS七段80歳。いままで25年間も
激闘を繰り返してきた碁敵であり、人生の先輩であり、
同じ囲碁部の仲間でもある。
この日も僕は、自ら編み出した「天空流」という打ち方を駆使して、
終盤には勝勢を築いていた。
あと2、3手で勝利というところで、初心者でも間違えないような
大ポカが飛び出した。
うまくいきかけると油断をする、まさに人生の縮図だ。
これが48年間、どうしても治らない。
『石音』では打った対局が自動保存される。
これは席亭の僕でも消去できない。
そしてとうぶん、記憶も消去できそうにない。
*顔の見える囲碁サイト 石音
http://www.ishioto.jp/
2018/07/03
2日前、本因坊文裕(井山七冠)が山下九段の挑戦を退け
本因坊七連覇を達成した。
京都の寂光寺には7年前、山下本因坊と井山挑戦者が
対局した部屋『本因坊の間』がある。
盤面も当時のままに再現されている。
ここの2代目住職は、あの信長・秀吉・家康3人の
囲碁の師匠であった日海(にちかい)、初代本因坊算砂だ。
「名人」という言葉は、信長が算砂に対して
「そちはまことの名人なり」と言ったのが起こりだと言われている。
現在、33代目住職の大川さんが、この囲碁の聖地を
守っておられる。この5月に訪れた際は、34代目の副住職が
小1時間丁寧にお寺の歴史を説明してくださった。
囲碁を仕事にする者にとって至福のひとときだった。
2018/04/17
―これは預かっておいてほしいんだ。
まぁあげることになるとは思うけど。
先日頂いた全集と一緒に我が家に到着したのは
桐の箱に入った本榧四寸盤と碁石。
40年ほど前に、Kさんが坂田栄男二十三世本因坊の奥様から
頂いたものだという逸品だ。
久しぶりに外気に触れるのだろう。
箱をあけるとふわっと榧の香りが部屋にひろがった。
木が深呼吸して喜んでいるようだ。
いま家づくりの真っ最中だが、来年2月、新居の和室で
存在感を示してくれるにちがいない。
自宅で開く小さな囲碁教室でも活躍してくれるだろう。
―ずっと、大事に預からせて頂きます。
2018/04/09
―ちょっと悪いんだけどさ、車で取りにきてくれないかな。
今朝10時すぎに久しぶりにKさんから電話があった。
当ブログでも何度か紹介した、同じ会社の囲碁部だった79歳の方だ。
最近2,3カ月に一度、ランチに誘って頂いている。
間もなく一軒家を売ってマンションに引越すため、
かさばる本と碁盤を取りにきてほしいという。
Kさんの家に行くのは2度目だ。
車を飛ばして昼まえに到着すると、既に縁側に段ボールが2箱、
庭のなつみかんがいっぱいはいった紙袋が2袋と、
古い桐の箱にはいった碁盤と碁石が置いてあった。
―この本はね、売らないでずっと持っていてくれそうな人に渡そうと思ってたんだ。
全巻個人で持っている人はあまりいないと思うよ。
もちろん一生大事にします。ありがとうございます。
37年前発刊の『現代囲碁大系』全47巻が47歳の僕の本棚に揃った。
2018/03/12
石音をはじめて12年がたち、僕が始めたリアル大会で
今も続けているのは1つだけになった。
昨日は9回目の「全国高校囲碁OB/OG選手権」だった。
毎年開催していたが、震災でスキップして以降は開催が
1年おきになった。
高校のクラブ活動の同窓会を、卒業後、数十年たっても
続けているところはあるだろう。
だが、OB同士の対抗戦を、8校も集まって開催し続けて
いるのは珍しいかもしれない。
ひとくちに高校OBといっても、集まるメンバーは
大学生から70代まで幅広い。そして集まるメンバーは、
アマチュア囲碁界のトップレベルの打ち手ばかりだ。
懐かしい同窓会に、懐かしい真剣勝負が加わった
独特の味わいがある。
僕は全体の幹事を1人でやりながら、母校の幹事、監督、
そして昨日は選手にもなった。
「代打俺」といえば、出来る監督風でカッコはいいが、
何せ実力がともなわない。個人では連敗した。
しかし毎回思う。
事前の調整や、母校のメンバー集め、当日の運営、
それらがすべて終わったあとの感触がいい。
大会がおわり宴のあと、皆が帰り際、名残惜しそうに
名札をはずして会場をあとにする。
それをまた見たくて、再来年、五輪の年にも
僕はまたこの大会を開催することになるだろう。
2018/02/12
今日は全碁協、渾身の企画『菊ちゃんまつり』だった。
数多くの大会、企画を運営側で経験しているが、
事前に定員オーバーになってお断りした記憶はない。
今回は280名入る日本棋院市ヶ谷大ホールが満席となった。
勝負にこだわらない「まつり」という企画。
これから全碁協が進む方向が見えた。
今夜は「まつりのあと」の心地よい余韻が残っている。
参加した人の笑顔、スタッフの笑顔、そして帰り際に見た
88歳菊池康郎理事長の笑顔。
素晴らしい1日だった。
*菊ちゃんまつりの様子 https://zengokyo.jp/archives/3424