2023/10/10
はい、わーさーび。パシャ
仲居さんに写真をとってもらうと必ずこの掛け声だ。
油断すると、ツンとした顔になってしまう。
53歳の誕生日をむかえた宿は、伊豆天城のそば、湯ヶ島温泉
にある老舗旅館、「白壁荘」だった。
天城産のワサビをふんだんに使う食事が圧巻だった。
ワサビ鍋。おろしをまぜてみぞれ鍋のようなところに、
すりおろしたばかりのワサビを大量に投入する。
出汁にとかすもよし。つみれなどにちょんとのっけて食すもよし。
おおぶりな見事なわさびが、あっという間に手をすってしまうほど
短くなった。ひとまわりこぶりのワサビがおかわりで出てくる。
ワサビのおかわりは初めてだ。
お造りはもちろん、和牛にも、ごはんにも、なんでもワサビだ。
朝食の時も1本。2人で3本まるまる頂いた。
ワサビは茎のほうからする、というのも今まで知らなかった。
確かに先端のほうが辛味が強いのがわかる。
いままで逆だったので気づかなかった。
この宿は名物の大岩風呂や巨木風呂がブラタモリで紹介されたり、
作家井上靖の定宿だったり、名曲「天城越え」がここで生まれたり
とエピソードには欠かないが、帰り道に頭をよぎるのは、やはり
「はい、わーさーび」だった。
わさびな一日を楽しんだ。
*伊豆湯ヶ島 白壁荘
https://www.shirakabeso.jp/
2023/10/10
よっこいしょ、と。
また一つ歳をとった。ここは三嶋大社の境内。
座るときに自然と声が出るようになったのはここ数年の現象だ。
記念日だから伊豆の帰りに三島でウナギでも食べて帰ろうか、
となってその前の腹ごなしにここにきた。
祭られている方には申し訳ないが、主がウナギで従が大社である。
ウナ従、という言葉がうかびすぐに消す。
前回三島にきたのは半年前、ひとりぶらりだった。
*行き当たりばっかし(5)
http://jotatsu-promise.com/ikiatari_5/
参拝のあと前回気づかなかった「石」があった。
座るのにちょうどよさそうだ。ではここで一休みしようか。
右に看板があった。あれっ座ってはいけなかったかな。
この石は頼朝が腰かけていた腰かけ石だった。
それを知ったとたん、だらけた顔を少しひきしめる。
目線をななめ上に天下を想う。
相変わらず中身がともなわない、53歳のスタートとなった。
2023/10/10
散歩の途中で出会って一番嬉しいのは「いいカフェ」だ。
異をとなえる人は少ないだろう。
自宅からまっすぐ歩くと20分ほど。散らして歩くと30分ほど
のところに、昭和の家を改造したカフェを見つけた。
「大人だってゆっくりおやつを」
言われると激しく共感するが、言われるまでその言葉はうかばない。
これが素敵なコンセプトの条件だと気づく。
店主に聞けばこのお店、2019年に神保町でオープンしたが、
2021年にここに移転してきたという。駅からかなり離れた
住宅街に都心からわざわざ引っ越してくる。こういう「非合理」な
選択に、なぜかひきつけられる。
「まじめな大人のかき氷」から完熟梅を頼んだ。
2種類のシロップが洒落ている。
―しまった。かけすぎた!
小学生のような嘆きのリアクションにつれは爆笑する。
めげずにあっという間に小さくなった氷にとりつく。
味はもちろんのこと、見た目からもあふれ出る涼を楽しむ。
そうだった。コンセプトは「大人」だ。
このお店、カフェでは珍しく席を選んで予約ができる。
はじめて見つけたときは余裕があったのではいることができた。
名物のプリンや豚まんもお薦めだ。
有馬屋おやつ店
https://select-type.com/p/arima_ya_ko_o_ri/
2023/10/10
物事はだいたい三番目で知っている人ががくんと減るらしい。
日本で三番目に高い山、三番目に大きい湖、三番目に長い川。
言える人は少ないだろう。僕も知らない。
東京で一番大きな神社はと聞かれたら、小考のすえ明治神宮と
正解をだせそうだ。二番目はなんとか靖国神社にたどりつくかも。
だが三番目はわからない。
それが散歩コースの中にあった。千年以上の歴史をもつ大宮八幡宮だ。
ここは杉並区にありながら飲める地下水をくみ上げている。
昔は湧水だったようだ。
夏は猛暑を避けて早朝6時頃から小1時間散歩することが多い。
お盆の時期は朝からセミの声がする。
神社の奥左に若宮八幡神社があった。
ひさしぶりにカブトムシに出会う。
そう、今は、夏休みだ。
大宮八幡宮
https://www.ohmiya-hachimangu.or.jp/
2023/10/10
西国分寺駅を降りて少し南下したあと国分寺方面に歩き出す。
20分ほどで別世界に着いた。
湧き水が小川となり、周囲は水が綺麗であることを示す草花が
目を楽しませる。
江戸時代に鷹狩が行われたというこの道は「お鷹の道」。
全長400mにも満たないが、その短い距離に野菜の直売場が
3つ4つある。湧き水の出ているところでは子供たちが裸足ではいり
ザリガニ釣りを楽しんでいる。初夏には蛍が飛び舞うそうだ。
都内、それも23区の西境から電車で15分ほどのところに
こんな道があるとは驚いてしまう。よく開発されずに残ったものだ。
直売所でもぎたてのビワや梅を買う。農家の人が直接売っているので
話を聞くのも楽しい。
途中、カフェに立ち寄った。地元野菜をつかったカレーがうまい。
前日たまたまテレビの散歩番組で見つけた小さな旅だった。
*史跡の駅「おたカフェ」
http://www.ota-cafe.com/