2017/12/28
仕事柄、「石」という字を見ると脳が勝手に反応する。
親しみを感じる、に近い。
今回の旅で湖北では『石道寺』、湖南では『石山寺』
に足が向いたのも偶然ではないかもしれない。
石道寺では、薄化粧を施した初々しい女性のような観音様に出会った。
作家井上靖氏が、村の娘さんのようなと評しているのもうなずける。
唇が赤い観音様は初めてだ。
石山寺では、国宝の本堂の『源氏の間』にある紫式部像が
まっさきに目を捉えた。
実際に紫式部は、この小さな部屋にこもり源氏物語を書いたという。
ライバルの清少納言も『枕草子』の中で「寺は石山」と書いている。
この2人の女性は囲碁を愛したことでも有名で
どちらも有段の腕前だったといわれている。
2人が盤に向かい合って静かに石を打つ。
千年前のそんな光景を思い浮かべながら、いっときを過ごした。