ここ数年、人間ドックで身長を測るときに
あごをひくのをやめた。
数ミリとはいえ、少しずつ縮んでいるのを
ごまかそうという魂胆だ。
そういう「小さい」自分は、恒例の背比べのときにも
自然と出てしまう。
アメリカのサンディエゴからくる17歳の姪は
既に173cmを超えた。
すまし顔でバレリーナのごとく爪先立つと
さすがの(なにが「さすが」かわからないが)
アンクル明もあぶない。
こっそり僕も、と背伸びしたところ、
「おじさん、だめー」
と5歳の姪に見つかった。
なんで僕だけ?
小さい自分が、さらに小さくなった瞬間だった。