2017/10/29
僕はもとより珈琲が好きだが、詳しくはない。
美味しい珈琲と美味しくない珈琲の違いは、なんとなくわかるが、
豆の種類や挽きかた、淹れ方にほとんど興味がない。
すっと頭に入らないからか。
たとえば豆の呼び名は、国名や地名だったり、山や農園の名前だったり、
それぞれが組み合わされていたりとばらばらだ。
「ブレンド」がずっと固有名詞だと思っていたぐらいだから、
生来のものぐさな態度で接してきたといえるだろう。
それがこの半年ぐらいで、少しずつ興味が沸くようになってきた。
その理由は僕の場合「表現」だった。
珈琲では酸味や苦みといった普通のいい方に加えて、
「爽やか」「軽やか」「野性味ある」といった形容詞がつく。
珈琲なのにときに「ナッツのように」「レモンティーのような」
「花のような甘い香り」とくる。
ふだん食事していて「爽やかな苦み」などとはいわない。
しかしあるとき飲んでからメニューに添えられた表現を見て、
「なるほどな」「うまいこと言うな」と思ったのだ。
そして次は、出来ることならその言葉を自分で紡ぎたい
という思いが沸いてきた。
答えあわせのような、そのむこうにある独自の表現の創造のような。
いま、そんな楽しみの最中だ。
「好きで詳しいもの」に生まれ変わる途中なのかもしれない。