2017/10/02
こんなお風呂がまだ残っていたとは驚いた。
犬養毅、井上馨、山県有朋、西園寺公望、近衛文麿といった
明治の元勲らが逗留した元「国営の別荘」。つまりトップの隠れ家だ。
今は平賀敬美術館となっている。
箱根湯本の喧噪から数分奥に入っただけの場所だが、
1時間以上貸切状態だった。
建物も風呂も調度品も100年以上前の姿を残している。
こういう場所にくると、五感と好奇心が動き出すのを
おさえるのは難しい。
箱根湯本で最も古い源泉がすぐ近くにあり、
地中から湧き出たばかりの極上湯が、そのまま少し深めの大理石の
湯船にそそがれている。
窓には錆びついた鉄格子がはめてある。
要人暗殺を恐れてのものだという。
僕は、しばし独りその湯船につかり、
彼らがここでどんなひと時を過ごしたのかに思いを馳せた。
ただただ、いまこの場所にいる時間を感謝した。